東京では桜がすごい勢いで咲いております。お花見のご予定はお早めに
さて、私はと言いますと、デザイナーのナガオカケンメイさんのトークイベントに行って参りました。「もうひとつのデザイン」という書籍の出版記念イベントで、場所は青山ブックセンターです。
d&department というロング・ライフ・デザインをコンセプトにしたショップが私は好きでよく行くのですが、このd&department を手掛けているのがナガオカさんです。ショップだけではなく、観光や出版、飲食など活動は多岐に渡ります。
- 作らなくていいものは作らない
- ものづくり産地をデザインで救う
- デザインをやりすぎない
- 大量につくられてしまったものに対してどう接するか
- 根付かせる
- 古臭いのは良くないけど、新しすぎるのも良くない
- 流行は敵
- デザイナーではなく、デザイン活動家
- 成功しなくてもいい、健やかに成長したい
- 社会のために、どう自腹を切れるか
・・・・・などなど。
使命感を持って、信念を持って活動されている様子が、心地よく伝わってきました。
ナガオカさんが言う「ロング・ライフ・デザイン」について、私も考えてみました。
きっとモノには「物理的な寿命」と「デザイン的な寿命」があるのではないか。
「物理的な寿命」は、読んで字のごとく、物理的に壊れてしまうまでの時間。
技術や知識、研究といった、誠意を持って積み重ねられた人間の力が発揮されるもの。
「デザイン的な寿命」は、人に愛される時間。
とでも言うのでしょうか。なにか、モノに人の心が宿り続ける時間。
必然性を伴ったデザインには、きっと普遍性がくっついてきて、そこには情緒も加わり、人に愛され続ける。
「デザイン的な寿命」が短いものは、ただの流行。もはや「デザイン」とは言わない。
そして、「デザイン的な寿命」が長いと、きっと「物理的な寿命」を補完できるのではないか。
そこにはきっと、修理して使うという、新たな喜びも生まれるのではないか。
「ロング・ライフ・デザイン」とは、「物理的な寿命」と「デザイン的な寿命」がバランスよく考えられたモノ。あるいは、コト。
きっとそれは、誰かの、誰かに対する「思いやり」から生まれるものなのだと思います。
イベント終了後、サイン会がありました。
前日に読み終わったばかりの「もうひとつのデザイン」を胸に抱き、私も列に並びました。
「僕、建築やってます。ロング・ライフ・アーキテクチャー目指して、がんばります!」と震えた声で言うと、
ナガオカさんは「そうですよ。いいですね!」と笑顔で、そしてとても真剣な眼差しで答えてくれたのでした。
「社会に生かされている以上、社会性のある仕事をしたい」と強く思った日でした。